ヴォークリューズ県 Département Vaucluse 

 ヴォークリューズ県はフランスの南東に位置し、県都はアヴィニョンです。プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏に属しています。地形的には平地と山と丘が交互に続いています。ヴォークリューズと言う地名はプロヴァンサル語の La vau-cluso、『閉ざされた谷』に由来し、その谷からは豊かな水が流出しています。夏は高温で雨の降らない地域ではありますが、年間を通じて平均毎秒13.5立方メートルと言う多大な量の流出水により、干ばつによる農業被害は ほとんど無いのだそうです。農業の中心はワイン生産で、平野部やゆうるやかな勾配の斜面に広がる広大なブドウ畑を見ることができます。

Carte de Vaucluse

ゴルド Gordes

  Le Lavandouを出て高速道路に乗って北へ向かいます。カーナビの指示に従ってひたすら走ること約3時間、突然岩山の上に村が現れます。ゴルドです。 ゴルドはリュベロン地域圏自然公園の中にあり、岩山にくっついたような「鷲の巣村」です。その起源は古代ケルト人によるオッピデゥム(Oppidum 城塞都市)です。

Gorde

 その後、8世紀にはベネディクト会がローマ神殿があった場所に修道院を建てています。11世紀には山頂に城が建築され、村全体が防衛施設で囲まれることになりました。
  さて、カーナビに導かれて山の麓までたどり着いたものの、そこからの道は心細くなるような狭い道で、斜面に民家がポツポツあるものの、人っ子一人いません。車を止めて歩いてみますが、 同じようにドイツ人のカップルが車を置いて歩いてきます。聞いてみてももちろんわかりません。仕方なく、対向車が来ないことを祈りつつ山道を登ると、ようやく村の中心部、Place Genty Pentalyにたどり着きほっとします。

Place Genty Pentaly - Gordes

Place Genty Pentaly - Gordesとお城

Goldes Chateau
Gorde - Village Gorde - Village

  観光地へ車で行くと駐車場に困るのは世界中どこでも同じです。なかなか空きスペースが見つからずうろうろしますが、ようやく駐車して暑い日差しの中広場に戻ります。石造りのお城は立派です。お城の上から眼下に広がる景色を景色を見ようと聞いてみますが、 残念ながらお城からの展望は無理とのこと。お城は博物館になっていますがそこへは入らずに村の中を散策します。中世の雰囲気が残る狭い路地を歩くと、突然視界が開けて素晴らしい景色が広がりました。

la vue de Golde

セナンク修道院 Abbaye Notre-Dame de Sénanque

 セナンク修道院 Abbaye Notre-Dame de Sénanque はゴルドの北、車で15分ほどの場所にあります。1148年に創設された修道院で、今ももちろん修道の場所として使われています。そのことから訪問した日は中を見学することは出来ませんでした。山裾に建てられた石造りの建物は質素ですが、威厳に満ちていました。修道院の前はラヴェンダー畑なのですが、残念ながらまだ5部咲き状態でした。

Abbaye Notre-Dame de Sénanque avec lavande Abbaye de Sénanque

セナンク修道院 Abbaye Notre-Dame de Sénanque

ヴォークリューズの泉 Fontaine-de-Vaucluse

  セナンク修道院を出て再びゴルドの裏を通ります。ここで天気が悪くなり、小雨模様の中を約1時間でソルグ川(La Sorgue)の源流となるヴォークリューズの泉に到着します。天気はすっかり回復し、ナラの巨木の木漏れ日が美しいです。川の水は冷たくて澄んでいました。ここでは18世紀にそるぐ川の豊富な水を直接利用した水車による製紙が行われていました。1台の巨大な水車が復元され、当時の製紙過程が展示されていました。

La Sorgeu La Sorgue
La Sorgue   La Sorgue
Fontaine de Vaucluse

 川岸のよく手入れがされた道を約15分ほど登ります。川のそばは涼しいのですが、坂道を登るとやはりかなり暑いです。 登り着いた先に、この地名の由来になった泉があります。柵がしてあって近くまでいけないようにしてありますが、皆乗り越えていきます。それに倣って滑らないように近づくと岩の奥に緑色の水を讃えた泉が見えます。 ヴォークリューズの大地に降った雨がここに湧き出していると思うと、神秘的です。泉の深さは1985年の無人潜水艇による調査では308mだそうです。

アヴィニョン Avignon

 アヴィニョンを訪れるのは43年ぶりです。ここは14世紀に教皇クレメンス5世が「捕囚」されたことで有名で、』当時教皇が住んでいた教皇宮殿(Palais des Papes) があります。そこの地下に駐車場が出来ていたので車を入れます。地上に出るとそこが宮殿広場(Place du Palais)で、目の前に教皇庁とノートルダム・デ・ドン大聖堂(Cathédrale Notre-Dame-des-Doms )があります。43年前の記憶と変わりがありません。17世紀からほとんど変わっていないので当然ですけれど、懐かしかったです。

Cathédrale Notre-Dame-des-Doms Palais des Papes

ノートルダム・デ・ドン大聖堂と教皇宮殿
Cathédrale Notre-Dame-des-Doms et Palais des Papes

Parc du Palais des Papes

17世紀の教皇宮殿広場   Place du Palais des Papes au 17ème siècle

  教皇宮殿広場の教皇宮殿公園はよく整備されて、きれいです。小雨が降り始めましたが、その端からは眼下に流れるローヌ川とそこにかかる聖ベネゼ橋(Le Pont Saint Bénézet)が一望できます。あの、「アヴィニョンの橋の上で」の歌で有名な橋です。12世紀に作られた22のアーチを持つ長い橋でしたが、度重なる戦禍や洪水で今は4つのアーチが残るだけです。

Pont Saint-Bénézet

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